20080213

八重山の安里勇(再録)/風土と声/volver

 


数年前、仕事としては続かなかったのだが、石垣島へ数度通うことがあった。仕事上の付き合いから知り合った人に美崎町の安里屋へ連れて行かれ、そこで初めて安里勇さんの八重山民謡を聞いた。店はいわゆる民謡スナックだから、ライブハウスのような音質は期待できないし、なかには話し込む客もいるから、そのときは「結構いいなぁ」程度の印象だった。酔っ払っているせいもあって、安里さんの名前も憶えず、離島する日に石垣の楽器屋で買ったCDが実は安里さんのデビューCDであったことも、後に気付いた次第であった。

音楽がそれが生まれた風土を想いおこさせる、そんな歌い手である。ライナーノーツで藤原新也さんが書くように、決して美声ではなく沖縄本島の歌い手のような洗練はないが、八重山民謡が実に八重山そのものを歌った歌であることを伝えてくれる。空と海がつながる青さやサトウキビ畑に囲まれた集落、波の音しかない砂浜。安里さんのCDを聞くたびに、そんな八重山への想いが募るのである。

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もうかれこれ20年近く前、ベネズエラ出身の友人にスペインのお土産ということで、フラメンコのCDをもらった。

Enrique MorenteのEssences FlamencasというCDで、当時の現地の大御所だったらしい。今も時折聞くのだが、素晴らしい。

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去年の秋、アルモドバルの新作ヴォルベールを観にいった。まあ、観客の少ないこと。関西ではこんなものかなあ。私もそうだが、映画館には足を運ばずに、レンタルのDVDを待つのかな。

アルモドバルらしい?、ええ!そうだったの?という起こりそうもないシナリオだが、ペネロペ・クルスが劇中で歌うフラメンコは、耳に残る。

年末の、Madridへ向かう列車で、車窓から見えるごつごつした岩と土の乾いた風景を見ながら、ipodで何度も聞いた。

この曲は、女性が歌う方が良いのかもしれない。

当然のこと、歌はペネロペの口パクで、実際に歌っているのは、先のEnriqueの娘、Estella Morenteだそうで。




錦鯉の里_小千谷市