天気が好いので、笑っているのでしょう。
20071016
Lisbon Story
ずいぶん前から、Wim Wenders のフィルムには共感を覚える。”ベルリン天使の詩” Himmel uber Berlin der, ”都会のアリス”Alice in den Stadtenには、他国の都市でありながらも、私の住む都市となんら変わらないように感じてしまう。
日本びいきで知られる彼だが、”夢の涯てまでも”Bis ans Ende der Weltの中の東京は、紛れも無く私の知る渋谷である。
彼のように、今の日本を撮れる人は少ないと思う。映像において何がリアルなのかについての、彼の洞察をふまえた上での話しだが。
絶版となっていた”リスボンストーリー”が、限定盤なのだろうか、アマゾンで廉価での予約注文の案内が届いて、さっそく注文した。
冒頭で主人公が”一つのヨーロッパは一つの連なった大きな国のように感じる”というセリフを語り、ドイツ、フランス、スペイン、そしてポルトガルへと、異なる言語のラジオ放送を車で聴きながら、高速道路の長旅を続ける場面がある。
ヨーロッパの人たちからすれば、私は立派に異邦人だが、EU以降のヨーロッパにはやはり、このような感慨を抱く。言葉にすれば、大してめずらしくも無い感慨だが、実感することとは違う。まったく違う。
たくさんの建築を最近ヨーロッパで見てきた同業者からは、こんな感慨を聞くことも無く、お決まりの単体の建築論だけで、正直辟易する。
この映画の主人公は、リスボンに住む知人のディレクターに呼ばれ、音響技師として赴くのだが、知人にはなかなか会えない。その知人は編集しない、誰にも見せない”新しいフィルム”を未来のために作って、保存すると言う。
主人公はリスボンの歌姫に恋をして、リスボンとその歌姫に対する彼の現実の感情を膨らませ、知人に対して、「未来よりも今だよ、君の感覚を信じろよ。」と語る。
私も、私の同業者に言いたいと思う。
「未来よりも今だよ、君の感覚を信じろよ。」
20071003
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