久しぶりの海外コンペ。建築ではなく、記念碑。
南北戦争を奴隷の身分のまま戦った、黒人兵士たちが埋葬された場所に記念碑をつくるというコンペ。よくある鎮魂碑では面白くなく、コンペの意味もないし、戦没者記念碑のような政治的な意味合いも付与したくなかった。
埋葬された棺の位置が明確になっているため、その棺の位置に、その棺の大きさの真鍮のプレートを敷き込み、そこから数本の真鍮の曲げたロッドを、草のように立ち上げる。風がそれを横切れば、ヒューと音がするだろうし、強い風が吹けばロッド同士が、隣に埋葬された彼ら同士のロッドがぶつかりあい、カンカンと音がするだろう。彼らのつぶやきか?笑い声か?泣き声か?
敷地の奥には、無数の真鍮のロッドの林を作り、それらはいまだ発見されていない、あるいは既に遺棄された彼らの仲間への鎮魂である。