20090422

J.G.Ballard

バラードが亡くなった。

10代の終わりころ、当時の創元推理文庫にあった「狂風世界」「結晶世界」「溺れた巨人」などなど...当時はただ、SFジャンルとしてしか一般的には認知されておらず(カテゴライズされておらず)、何がSFだ...西部劇みたいな勧善懲悪な、宇宙人との戦闘場面ではないぞ...と思っていた。

バラードの、黙示録的に、壊れていく...地獄の底が抜け、どんどんどこまでも壊れていく世界。

理由はわからないが、ものすごく魅かれた。

クローネンバーグが映画化する、後期の「クラッシュ」で、Rosannna Arquetteを知った。かの女優はPulp Fiction にも端役で出演。彼女は一時期、Peter Gabrielと暮らした時期があったと聞いた。

Peter GabrielがDeep Forestとコラボレーションで作った曲、”While the earth sleeps”(本当にいいタイトル)は、近未来のL.A.(実は設定は西暦2000年)を描いた”Strange Days”のテーマ曲であった。

”Strange Days”はほんの少しのハッピーエンドで終わるのだが、なんとも悲しい映画であった。エンドロールでいくつかの場面がピックアップされてこの曲が流れるのだが、映画の中の、フィクショナルな人物すべてが、当たり前なのだけど、この映画の中にしか生きてられないと感じるような、それを知った悲しさだった。



それにしても、底が抜けたような現在の混沌の中、底の抜けた世界を執拗に描いたバラードが亡くなった。

錦鯉の里_小千谷市