20240429

東北の寺社には茅葺が多く...

 白山神社 新潟県糸魚川市




恐らくは、屋根瓦では凍害が現れることが主因であろうかと思うが、東北の寺社には茅葺が多い。そしてその維持には、茅葺職人を含めた地元でオーガナイズされた組織や茅を安定して調達できる環境-風土も必要だろう。また、現代であれば、瓦葺き以上に手間も、恐らくコストも求められるのだろう。

茅葺屋根は、寺社の大きな屋根架構に載ると、その茅の刈り込みの手際も相まって、風格のあるものに仕上がる。その一方、丸みを帯びた茅葺屋根が民家にも至極普通に用いられているからであろう、馴染みが深く、優しい。



旧朴舘家住宅 岩手県二戸郡一戸町




これは寺社ではないのだが、十七間×九間(30M×16M)のとても大きな豪農の民家。残雪が載ったままの大きな屋根とそれを支える、豪雪地帯の大屋根を支えるための柱、梁、束、貫...丸太垂木... 。特に柱は強度に勝る栗材が用いられているらしい。

白井晟一の“縄文的なるもの”のなかの一文「茅山が動いてきたような茫莫たる屋根と...」を想い出す。



20240421

会津さざえ堂



誰が書いたのだったか、FLライトのNYグッゲンハイムは、そのスロープが、力学的構造と動線と意匠を一体的に規定しているので、なので傑作とは言えない、とかなんとか、読んだことがある。私の記憶の中で脚色しているかもしれないが。

ただ、RC構造のNYグッゲンハイムに較べてみれば、木造で造られた会津さざえ堂の二重らせんは、その表現はよりストレートである。





スロープだけで構成されたところのいわゆる”さざえ堂”形式は日本国内にいくつかあり、とはいえ、NYグッゲンハイムと同じく、世界的に希少といえる形式だといえるだろう。会津さざえ堂は、本流の”日本建築史”にはほとんど相手にされずとも、特に建築プロパー界隈ではよく知られている。

基本的に線材の構造体(柱梁)を現わす(見せる)日本建築は、その構造手法と空間構成原理が密接に、それも宿命的に連関している。となれば、会津さざえ堂は、そのような手法で造られたダイナミックな二重らせんを描くスロープ構造しかない、ほぼないとさえ言えて、それはそのままストレートでダイナミックな表現に結実している。

外観に二重らせんがそのまま反映され、斜めに架かる桁や貫が、水平面から大きな勾配を伴って上昇していく力強さは、素晴らしい。ディテールが簡素なので、よけいに力強い。





また、その堂内のきつい斜路はまるで山間を歩くような動作を要求される。けれどなぜか、どこか気楽な印象を受ける。





最後に弘前禅林街のさざえ堂。会津ほどの力強さは無い。

これでは、もっとよく見たい、中に入りたいという気持ちは起きない。







錦鯉の里_小千谷市