20061115

ADE

 

ローマのポポロ広場には双子の教会があると教えられたのは、大学時代のゼミであって、亡くなった毛綱さんが在籍した研究室の助手であった頃によく話していたと聞いた。建築の記念性に心を入れた人であったから当然だと思う。いつかは、シンメトリーの双子の建築を物にしたいと思う。この双子の容貌はある1点を除いて完璧にシンメトリーであって、心ある人がそのある1点を感得した瞬間に、日常的な世界認識がゆっくりと滑り出していくような、そんなパワフルな建築を作ってみたい。なんて、夢想する。




このADEは、そんな気持ちを少しは込めてみようと取り組んだ。容貌は違うけれど、いくつかの空間の暗示を見せようと試みた。外観は、敷地の北側の山の姿のようなシルエットを持つメインヴォリュームに、玄関部分の白いフレーム状のヴォリュームを膠着させ、膠着した部分を明らかにせず、後のヴォリュームの一部分が前のメインヴォリュームにどこまで飲み込まれたかを見わけられないように作ってみた。

内部は外観とはまったく別で、いくつかの空間が、棟直下の天井の折上げ部分を境にしてそこから、ある空間は発散し、ある空間は収束していく。特に、逆パースとなる階段はメインヴォリュームに対して入れ子構造をとりながら、収束する空間への導入部分となり、階段を上がった先にはほの暗い中に鏡張りの扉があって、収束する空間が実は導入部分しかここにないことを暗示している。で、こんな説明に何の意味があるのか、と言われるのだろうが、いい空間になったと思っている。








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錦鯉の里_小千谷市