20070614

オキーフの色/抽象

ジョージアオキーフの絵の、その色使いというのだろうか、我々のまわりの世界を聖なるものとして感じさせてくれる。描くものは、現実に存在する自然や静物ではあるが、写実を目指した色ではなく、色使いによる抽象とでも言えるのだろうか。


仕事柄、建築の色決めを数多く行うが、日本の塗装屋さんがいつも使う、日本塗料工業会の色見本には、いつもいつも思うことだが、「いい色」が無い。

塗料が今の工業製品では無く、自然の鉱物や植物から作られた江戸時代の色見本とその色の名前の由来を教えてくれる書籍「日本の伝統色」は、しばしば重宝する。どのページを見ても、「いい色」ばかり。また、色の名前の由来も面白い。

数百万色を用いた広告や映像に囲まれた私たちのこの時代は、現実の自然の色をカラーコピーとして模倣する技術を獲得したのかも知れないが、色の中にも貴賎があり、かつて貴い色があったこと、その貴い色にしか名前が無かったことを思い出させてくれる。

大学時代に御世話になった、坂倉建築研究所の故西澤氏が、海外で手に入れたデュポンの色見本を現場に持ち込んで色決めをしていたと聞いたことをなつかしく思い出す。

 


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錦鯉の里_小千谷市