20080125

バルセロナ最終日

夜21時過ぎの飛行機でbilbaoへ向かうため、barcelonaの最終日。メトロからカタロニヤ鉄道に乗り継ぎ、ガウディが途中から引き継いだサンタテレサ女学校へ向かう。周辺はbarcelonaのいわゆる山の手、神戸とは違い戸建住宅ではなく、5~7層程度の中層アパートメントが建ち並ぶ。


女学校なので、見せてくれないか?と守衛のおじさんに聞くが思ったとおり、微笑みながら「そりゃあ、無理だよ、セニョール」との返答。通りから塀越しに眺める。建設コストが厳しかったと聞くが、素晴らしい。ガウディの気持ちが十分に入った良い建物。押えた意匠でここまで見せるのはやはり天才なんだ、と実感する。

ここを卒業した人たちはこの建築とこの学校での生活を自慢できるだろう、いろんな思い出とともに。


市内のゴシック地区に戻り、Richrad Meyerの現代美術館。政治的な意味も含んだ再開発で、周辺の夜は少し危険かもしれない。美術館そのものは、Richard Meyerですね?そうですね。以上でも以下でも無し。長いスロープ(ランプ)は疲れるだけ。ホールは間延びしている。なんで、彼に頼んだんだろう。Jean Nouvel もherzogもこの美術館も、Barcelonaの最近の建築は見るべきところが無い。建築家の問題ではなくて、クライアント側に問題があるのでは、とも思いたくなる。




カタロニヤ音楽堂そばの建築。建築論からすればなんのことはない建築物であろうが、香りのする建築。私は非常に惹かれる。こんなビルにアトリエを構えられれば、最高。そんな風に思う。

そうこうするうちに、フライトの時間。荷物をホテルから引き上げ、空港へ向かう。

スペインを短期間で回ろうとする方へ。イベリア航空のウェブ発券は渡航前に日本からスケジューリングできるので楽だし、搭乗時刻を選べばびっくりするぐらい安い。約1時間のフライト(たとえばBarcelona-Bilbao)は総額50ユーロ以下、もちろん季節にもよりますが。伊丹ー羽田と比較してください。スペイン国鉄renfeの遅延や本数の少なさをさらに考えあわせれば、非常にお得な気がします。



20080108

Colonia Guel、バルセロナ近郊にて

20年前は見る機会を作れなかったコロニアグエルへ出かけた。バルセロナのメトロが工事中でカタロニア鉄道への連絡駅がメトロマップとは異なっていることを、臨時のボランティアの女の子が教えてくれた。どうもありがとう。やはり、バルセロナは国際観光都市である。少々わかりづらかったが。

コロニアグエル駅で降りて、ツーリストインフォの例のiの標識を辿って市街地に向かう。

グエル財閥は健在のようで、駅近くにはグエルと名の付く大きな工場が操業し続けている。街中心部のそのインフォメーションでは日本語のガイダンステクストもあり、コロニアグエルの中心部一体が工場で働く労働者や管理者の住宅を含んだ、集合住宅群であり、ハワードの田園都市にいくらかの影響を受けていることを知った。住宅群は何人かの建築家の担当であろうが、いくつかの住宅は今も丁寧に使われており、見るべきものがあった。





ガウディはこの地の教会の担当で、それがコロニアグエル教会。地域の教会にふさわしい、愛着を持つにはちょうどいい小ささで、好感は持てる。ただ、私にとってはガウディは少し脂っこいのだなぁ、これが。ガウディ独自のプロポーション感覚など、天才であるのは間違いないのだが。


バルセロナに戻る途中で、ボフィルのオールデン7が遠くに見えるが、もういいや。寒すぎた。バルセロナ市街地に戻り、カサミラ。外観のヴォリューム、プロポーション、サッシュの納めかた、踊るようなキャストアイアン、あえて美しい、と言いたい。



カサミラは先のブログで書いたように、今は公開され、最上階はガウディミュージアムとなっていた。見ごたえあり。
写真は、あまりに著名なガウディの懸垂構造モデル。写真を逆さまにアップしたのではなく、そのモデルの下に鏡が置かれ、その鏡像の写真。
物の本によると、この懸垂モデルをもって、ガウディの構造センスを問うのだが、私はそうは思わない。モデルニスモとは言うけれど、間違いなくガウディ造形の一部は中央ヨーロッパの盛期ゴシックを起源としている。フランスのシャルトルに代表される、フライングバットレスを用いた、強烈に緊張感のあるゴシック聖堂の構造形式は、そのヴァリエーションは試しつくされ、ガウディはそうではない構造形式を模索していたのだろう。私はそう思う。だから、スラストを分散させやすい放物線に固執したのだと思う。その結果、垂直性の強さが薄れ、ガウディ独自のディメンションが出来上がったのだと考えている。


20080105

なんだこりゃ、バルセロナにて

昨年末、多忙の中10日を休み、たくさんの人に迷惑をかけつつスペインへ行った。おおよそ20年ぶりの濃密なバルセロナ。

ガウディのカサミラやカサバトリョは、20年前の当時は観光名所ではなかった。カサミラもカサバトリョも中庭までしか入れず、警備員(管理人?)に追い返された。幸運にも、カサバトリョではバルセロナの建築家協会の会員たちだったと思うが、1戸の住宅の見学会に遭遇し、日本からわざわざ来たのなら一緒に見ましょう、と案内を受けた。

ところが今は、双方のカサとも、内部にも入れるし、カサミラは屋上まで上がれる。まあ、ガウディについては、次回に。

20年前には無かったビッグネームの建築家、Jean NouvelとHerzog de Mouronの2作を見に行く。結論から言うと、なんだこりゃ。

Jnのタワーは、1階のエントランスだけを見た後、それ以外の公開されたスペースには足を踏み入れなかった。パリの副都心でJNが見せた美しい模型から10年以上は経っていると思うが、あのパリのプロジェクトもこんな風にするつもりだったのだろうか?

ファサードの下品な色使い、新手のジャロジーか???貧相極まりない


続いて、HMのコングレスホール。バルセロナの海沿いの再開発。さびれた場所、再開発なのにもうさびれている。

中には入れなかったので、概観のみ。上記のJNの作品と同じ。ちょっと考えたまま、思考停止。ディテールなど無し。軒天井のステンレス板は、へたくそなパチンコ屋でもこうはしないだろう、と言う風な下品さ。学生の卒業設計がそのまま出来た風。これもまた、ひどかった。


コングレスホール近くに、雑誌AUで紹介された集合住宅。ファサードがルーバー扉なので、フォルムが輻輳して美しい。けれど、ディテールが大雑把なせいか、アルミアルミしすぎているせいか、香りが感じられない。

ああ、メディアなど信用してはいけない、の好い見本となる建築群であった。正直、がっかりしたし、また、よおし、と元気も出た。

錦鯉の里_小千谷市