プラハ旧市街広場で見かけたスグラフィット。
クラクフのこれもそれだったと思う。
バルセロナのこれもか?
我々の時代には装飾と建築あるいは街との優雅な関係はもう望まれていない、悲しいことに。
そして今日もシリアのダマスカスで破壊され続けている建築群。装飾が無ければそれらの建築はほぼ評価不可能だろう。けれど、装飾どころか、すでに世界遺産のいくつかが爆撃で破壊されたと聞いた。言葉にならない。
プラハ旧市街広場で見かけたスグラフィット。
クラクフのこれもそれだったと思う。
バルセロナのこれもか?
我々の時代には装飾と建築あるいは街との優雅な関係はもう望まれていない、悲しいことに。
そして今日もシリアのダマスカスで破壊され続けている建築群。装飾が無ければそれらの建築はほぼ評価不可能だろう。けれど、装飾どころか、すでに世界遺産のいくつかが爆撃で破壊されたと聞いた。言葉にならない。
グランドブダペストホテルを観る。幾人もの上手な役者さん達、楽しい映画。
多くのブログで触れられているように、この映画のエンドロールではシュテファン・ツヴァイクにinspireされたと。
これから読むのだが、1930年代をオーストリア・ハンガリー帝国で生きた時代の回顧的準遺作「昨日の世界」には、“ヨーロッパが失われた”と書かれているらしい。
この数年の世界中の混沌を見るにつけ、再びこんなフレーズが世界のいくつもの場所で発せられるのではというような不安を感じている人は少なくないだろう。
先月のプラハでは、そのヨーロッパを維持、再現した以上、以下でもない、何か窮屈な印象を受けた。中世の町並みの香りなどと聞いたが、非常に手入れの行き届いたテーマパークのよう。オーストリア・ハンガリー帝国の一部を成した、ボヘミア。街にはほとんどその香りは感じられず、閑散とした美術館にわずかにだけ。それにしてもあの街を埋め尽くす旅行客はプラハのどこに心を動かすのだろう。
クラクフのJewish Districtのシナゴーグをいくつか見て回る。ひとつだけ礼拝堂そのものを見せてくれるところがあった。他は入堂禁止。天井の装飾はいただけないが、壁に散見されるヘブライ文字。タルムードだろうか。偶像の無い、ミニマルとも感じる小さな空間は、他の観光客もいない。ステンドグラスで演出された光も無い。どこか遠くを想う場所なのだろうな、と感じる。どこか遠くとは、この世にある場所ではなく。
クラクフ各所で見かけた、半分壊れたあるいは放棄されたレンガ造建物。もし仮にリストア、コンバーションのコンペでもあれば是非参加してみたいと思うほど。色々と創造をたくましくしながら周囲をみて歩く。壁からも雨漏りするのだろう、ルーフィング貼ったままのも。
一部をリストアして使っている。こんなところにオフィスがあれば、カッコイイだろうな。
すぐに古い建築をなんだかんだと理由をつけて、壊してしまう、その後にどうしようもないものを良く考えずに作る。たいして必要なものではなく、投資のための投資。そんな日本を振り返れば、投資先に困るほどにだぶついた資金のことを、「潤沢な資金を保有している。」なんて言ってていいのでしょうか。
ポーランド国内のロシアイコンを集めた美術館、とどこかのwebで見つけて、ウクライナに程近いSanokを訪れる。古い屋敷を改造した美術館で、ロシアイコンを収容する旧館と地元の現代美術を展示する新館で構成されているが、建物そのものはまるで魅力なし。
けれど、ロシアイコン好きにとっては、何時間でもいられる場所。日本ではこんな展覧会はまず無いだろう、絶好の美術館だった。
それにしても、推測だが、これらのイコンを保持していた教会は放棄されたのだろうか?それとも何か他の理由でイコンが収集されたのか?わからない。
Debno、Sekowa、Orawka、Kwaiatonなどなど。いくつかの木造教会を二日間かけて見て回る。ロシアの影響を受けた様式の教会群は、ルーマニアからポーランド、スロヴェキアにまたがって残っていると聞いた。決して大きなものではなく、ものすごい施工技術で作られているわけでもない。今も地元の大工さんが細々とメンテしている感じ。釘を面打ちしたところなどたくさん。ちょっと素人っぽい造りではある。
けれど、すばらしいヴォリューム感覚を感じるいくつかの教会、何時間でも見ていられそうな祭壇画。時折訪れる観光客や短い礼拝に訪れる地元のおじさん、おばさん。
どの教会も地元の人々から愛されているのが良くわかる。UNESCOの予算がついて駐車場整備をしているところなどもあったが、そこは逆に興ざめであった。
小さな村にひとつずつ。低い塀で囲まれた教会の敷地内にはたくさんの墓石が並び、その村で生まれ、そして死んでいった人たちだろう彼らが教会の横に眠る。
クラクフ空港でレンタカーを借りる。ポーランド南東の世界遺産に登録された木造教会群を見るのが主目的。
レンタカーにマウントされたナビが壊れることも警戒して、日本でgarminのナビとヨーロッパ地図データのminiSDを購入。Google earthから目的地すべてをPCからgarminに入力し、旅先へ持っていった。
シガーソケットから電源を取り、レンタカーで起動させると、日本車の純正ナビのような丁寧な日本語では話してくれないが、驚くほどの精度。タッチパネルの感度はイマイチか、と思うが、慣れない海外では本当に心強い。試してみてよかったと思う。
クラクフは2013年、ヨーロッパ人観光客の訪れてみたい都市の上位に入ったらしい。街を歩いていて、誰かがこう言ったのを聞いた、”Every day is on Sunday”。そのとおり、観光客が多い。多すぎる。摂氏35度を軽く超える夏、古いホテルではエアコン無く、旧市街は早朝まで若い子たちが通りで騒ぐから、窓を開ければ眠れないし。また静かな時期に訪れてみたいから、もう夏には行かないだろう。
Wawel。
幾度も改築、増築を重ねているが、その時々の質の高い意匠を施して、ハイブリッドというのだろうか、多層的というのだろうか。イタリア人建築家が担当したといわれる中庭。閲兵式などに使われたのか、本家と比べ、異常に広く、大きい。ディテールはイタリアにあってもおかしくないほど質が高い。ただ、大きすぎるのでは、と感じる。
イタリアの王宮前広場は、いわゆる外向けのファサードを用いているが、Wawelでは、フィレンツェにあるような個人邸宅の中庭のファサードを300%拡大コピーしたみたい。確かに王宮なのだが、商業的に成功した都市クラクフだからか、王宮も権力の強さを露骨に示す意匠ではなく、商業都市の明るさ、開放性を感じる。ヨーロッパ文化の周辺であったポーランドの王は当時の国際的な文化受容を意識的に、積極的に行っていたのではないだろうか、周辺国との関係を思慮して。王宮内部は写真撮影禁止であったけれど、家具、調度品の抑制の利いたデザインは一級品であった。